ガスケットマウント風アクリル積層自作キーボードケースを作ったログ

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自作キーボード用のアクリル積層ケースを作った

自分用に基盤の設計をした左右分割自作キーボード用にアクリル積層のケースを作ってみました。

その制作過程を残します。 note.com

アクリル積層ケースとは

アクリル積層ケースとは、カット済みのアクリルを積層して作成する自作キーボード用のケースです。

自作キーボード用のケースの他の作成手法としては3Dプリントがありますが、アクリル積層は2Dデータを作成するだけで良いので、3Dデータを用意するよりは敷居が低いと思います。

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発注用のデータを作る

f:id:yt3trees:20210314125630p:plain 業者に発注する用の2Dデータを作成します。 私はInkscapesvgデータとして作成しました。

アクリルは計5層になっています。

  • 1層:ボトムプレート
    底になるプレートです。
    大きめの穴がボルトが通る穴で、小さめの穴はねじが通る穴になります。 f:id:yt3trees:20210314125951p:plain

  • 2層:ボトムレイヤ、3層:ミドルレイヤ
    2枚とも形状は同じです。マウントプレートがこのレイヤの上に乗ります。 f:id:yt3trees:20210314130106p:plain

  • 4層:トップレイヤ
    マウントプレートの周りを覆うような形になっています。 f:id:yt3trees:20210314130136p:plain

  • 4層:マウントプレート
    ガスケットマウント風なので、ネジ止め部分はミドルレイヤの上に被るようにします。
    後述しますがマウントプレートのみはアクリルとは違う素材にしました。 f:id:yt3trees:20210314130324p:plain

  • 5層:トップカバー
    ケースの顔です。マウントプレートのネジ止め部分などを隠します。 f:id:yt3trees:20210314130152p:plain


各プレートの厚みは下記になります。ケース全体が最低限の高さになるようにしています。

  • トップカバー:3mm
  • トップレイヤ:5mm
  • マウントプレート:2mm
  • ミドルレイヤ:5mm
  • ボトムレイヤ:2mm
  • ボトムプレート:2mm

発注する

作成したデータをレーザーカットサービスのAnymany(エニメニ)に発注します。

問い合わせフォームにデータを添付して見積もり依頼を出します。

しばらくすると見積もりがメールで来るので、そこからクレジットカード等で注文します。

支払い後、2日で制作完了して発送されました。(早い!)

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その他の部品を用意する

ネジやスペーサーを用意します。 ヒロスギネットで注文しました。

部品 種類/長さ(厚み) 個数 用途
ボルト M3 / 20mm 20 ケース固定用
ナット M3 / - 20 ケース固定用
ワッシャー (1mm) 20 ボルトはみ出し部分の長さ調整
スペーサー M2 / 7mm 8 マウントプレート固定用
ネジ M2 / 4mm 16 マウントプレート固定用
クッションゴム (5.1mm) 8
ポロンスポンジロール
(ポリウレタンフォーム)
(1.5mm) 1 ガスケットマウント風用、消音用

マウントプレート

マウントプレートは切断堂に発注しました。

ヘアライン仕上げの真鍮です。なかなかかっこいいです。

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組み立てる

材料が揃ったので組み立てていきます。

組み立て手順

  1. ボトムプレート~ミドルレイヤまでを重ねる
    ボトムプレートにスペーサーをねじで固定しておきます。 f:id:yt3trees:20210314141825j:plain
  2. ボトムプレートにカットしたフォームを乗せる
    キー打鍵時の反響音軽減のための消音材としてのフォームをボトムプレートに乗せておきます。 f:id:yt3trees:20210314143115j:plain
  3. マウントプレートの裏側にカットしたフォームを貼り付ける
    マウントプレートとケースの接地面にポリウレタンフォームを敷くことで打鍵時の衝撃を軽減します。 厳密にはガスケットマウントではないのでガスケットマウント""と表現しています。
    (参考:プレートマウント方法とスイッチとの相性情報)
    ※画像は左手側です。 f:id:yt3trees:20210314140723j:plain
  4. プレートにスイッチを乗せて、PCBに乗せる
  5. マウントプレートをケースの上に乗せて、トップレイヤを乗せる f:id:yt3trees:20210314141519j:plain
  6. トップカバーを乗せて、ボルトとナットで固定する
    ナットからボルトがはみ出しすぎないようにワッシャーを間に挟んでいます。 f:id:yt3trees:20210314142020j:plain
  7. 底にクッションゴムを付ける
  8. 完成! f:id:yt3trees:20210314143402j:plain f:id:yt3trees:20210314170922j:plain

反省点

概ね問題なかったのですが、一部反省点があります。

  • 寸法ぎりぎりに設計しすぎた
    今回作ってみて気づいたのですが、アクリルって結構反るんですよね。寸法ぎりぎりに設計しすぎたせいでキーキャップとケースが触れてしまうことがあります。少し手で曲げてあげれば接触しなくなるので問題ないのですが、考慮しておくべきでした。

おわりに

アクリル積層は見た目が良いですね。

画像右が今回作ったアクリル積層ケースで、左がサンドウィッチマウント(ケース?)になります。 サンドウィッチマウントではキースイッチや基盤が直に見え、見た目があまり良くないですが、アクリル積層は側面が隠れるので全体的な見た目に統一感が出ます。 f:id:yt3trees:20210314145620j:plain

また、ガスケットマウント風にすることで、打鍵音がマイルドになり、キー入力時の衝撃が柔らかくなりました。

そこそこ高額にはなってしまいましたが、作って良かったです。普段使用の40%分割キーボードとしては多分EndGameです。

記事とは関係無いですが、30%キーボードの設計に挑戦しようと思っています。完成したらまた記事にします。自作キーボードの世界、ハマってまだ半年ちょっとですが、楽しいですね。沼ずぶずぶです。

(追記) 30%キーボード作りました。 yt3trees.hatenablog.com

参考にしたサイト